請求の原因(訴状の続き②)

第2 請求の原因

1 本事案の概要等

ア 被告会社について

本事案の被告会社株式会社トライグループは,個別教室の企画運営並びに家庭教師派遣事業,通信制高等学校サポート校運営事業及び幼児向け英語教育等を目的とする株式会社であり,関連会社として労働者派遣事業等を目的とする訴外株式会社トライ・アットリソースがある。

イ 労働契約について

(ア)原告は,被告との間で平成30年3月2日,同日から平成30年4月末日までの約2ヶ月間を期間とする期間の定めのある労働契約(甲1の1,甲1の2)を締結(以下「本件有期契約」という。)し,以後,原告と被告はこの契約を連続して3回更新(甲62・3頁)しており,最後の更新は同年11月1日から平成31年4月末日までの6ヶ月間を期間とする本件有期契約(甲1の1,甲1の2)である。この事実は当事者間に争いがない(甲54・3頁,甲62・3頁)。

(イ) 原告は,本件有期契約にしたがい,第2項の個別教室および通信制高校サポート校運営事業における教室の運営担当業務(体験授業を含む),第1項の家庭教師派遣事業における教育プランナー業務及び第2項におけるサポート業務および事務処理担当業務並びに第4項のMyトライコースにおける学習サポート業務(甲1の1)等に従事している。

(ウ) 就業規則は,就業誓約書(甲2の1)記載のパートタイマー就業規則(甲3)が適用(甲1の2・別紙「就業誓約書」に関する事項,甲2の1,甲56・1頁・第3条)され,及び懲戒規定(甲5)を交付している。なお,解雇及び懲戒による解雇は,パートタイマー就業規則に準じて行う(甲1の2・契約の終結に関する事項・第4項・甲56・1頁・第3条,甲56・16頁・第59条)との定めがある。

(エ)休憩時間 6時間を超える場合は45分,8時間を超える場合は

60分とする。

(オ)休日休暇 4週4回以上,年間105日以上を休日とする。

(カ)賃金締切日 毎月月末日締切,翌月25日銀行振込支払(甲1の2)

(キ)給与からの控除

イ 所得税及び地方税,その他法定によるもの

ロ 社員代表と書面により協定した損害保険料その他のもの

(ク)賃金は,本給(甲1の2・賃金)及び別途手当(甲1の1・【賃  金提示表】の下※)が支給(以下,本給及び別途手当¹をあわせて  「基準賃金」という。¹は末尾に補足の意見があることを示す。)  され,その他割増手当(甲1の2・賃金・第2項)及び通勤手当(甲  3・第30条)が支給されるとの定めがある。通勤手当について  は1日あたり960円,他の教室へ移動する場合は実費が支給さ  れる。

したがって,平均賃金は算定基礎である基準賃金,割増手当及び通勤手当で構成されるから,原告の平均賃金1万1,629円92銭,平均月額賃金34万8,897円60銭と算定した。

なお,賃金は,後記・2項オで詳述しているが,申し上げておきたいことは,保有個人情報の開示請求による東京労働局総務部からの開示資料(甲74の8)によれば,平成30年4月分は総労働時間85.75時間であり,銀行振込で支給された基準賃金その他手当を含め,手取額の総額は金56,812円であった。賃金は一時間あたり金662円53銭となり,最低賃金法に基づく最低賃金871円(愛知県)を下回っている。その他の未払賃金とともに原告は被告に対して催告(甲78)したが支払われていない。

(ケ) 所定時間外労働は,時間外労働(甲1の2・所定時間外労働に関する事項)と定められ,時間外勤務,休日勤務及び深夜時間勤務(午後10時から午前5時)については,割増手当を支給(甲1の2・賃金・第1項及び第2項)するとの定めがある。

(コ) 手当

a 「割増賃金の算定方法は,労働基準法(以下,「法」という。)37条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下,これらの規定を「法37条等」という。)に具体的に定められているところ,法37条は,法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付ける(最高裁判所昭和44年(行ツ)第26号同47年4月6日第一小法廷判決・民集26巻3号397頁,最高裁判所平成28年(受)第222号同29年7月7日第二小法廷判決・裁判集民事256号31頁参照,最高裁判所平成29年(受)第842号同30年7月19日第一小法廷判決参照)」と判示している。

b したがって,割増手当の深夜割増, 時間外割増並びに休日割増は,法37条等に定められた方法により算定された額を割増手当(別表2の2)とする。なお,割増手当の算定基礎である基礎賃金は基準賃金のみで構成される。

c 時間外割増は,本件有期契約にしたがい,一週あたり1週間の所定労働時間37時間30分(甲74の4,甲74の16)を超え又は1日8時間を超えて労働した時間を時間外労働として算出(別表2の1)し,当該時間外労働に対して算定された額を時間外労働の割増手当(別表2の2)とした。

d 深夜割増は,被告は原告に対して5月分賃金にのみ金150円を支給(別表b)したが,金150円は法37条等に定められた方法により算定された額を下回るため割増手当として相当ではなく,その他深夜割増に相当する金銭は支給されていない(別表b)。

e 被告から交付された支払明細(甲58)に割増手当の記載はない。

f 労働審判委員会は,割増手当に関連して,被告に対し「総実働時間数からみて割増手当が発生しているはずである。」(甲58)と指摘した。

g しかし,その後原告に対して書証(甲63ないし甲67,甲74の7ないし15)が交付され,その他の割増手当も確認したが,被告は原告に対して,割増手当の内深夜割増として相当ではない額の金150円を支給したのみで,その他割増手当を支給していなかった事実が明らかになった(別表2の2)。割増手当は,後記・2項オbにおいて詳述している。

h その他通勤手当等も未払いがある(別表b,別表1の3)。

(つづく)

相手方答弁書