ウ 本件解雇
a 本件第1解雇
- 平成30年11月1日,突然被告は予告手当の支払いをしないで,「会社の都合で明日から来なくていい。」又は「もう今日で来ないでください」(甲59・最終頁)と被告会社の名駅校の教室長染矢氏は原告の就労をやんわりと不当に拒絶した(甲54・4頁)。
- 年次有給休暇及び休業手当の請求
そこで就労を拒まれた原告は,被告会社に対して平成30年11月2日ないし11日まで10労働日の年次有給休暇の請求をした。したがって,10労働日後の同月12日の年次有給休暇明けには,教室長染矢氏に対して「お疲れさまです」等(甲22の2,甲52の20)と電話及びLINEで連絡して話しているが,自宅待機が続くならば休業手当の支払いを求めた。結局は,教室長染矢氏は原告に対して,詳細は「上(うえ)と相談して追って連絡する。」として,原告は自宅待機を余儀なくされた。
- その後,被告から原告に対して正式な連絡はなく,平成31年2月26日付平成31年(労)第24号を申立て,未払休業手当の支払い等につき争うと,名古屋西労働基準監督署を通じて被告に対して正式に伝えた(甲62・6頁)。
- 他方で,被告は平成31年4月13日付書類送付のご案内(甲12)において,原告は従業員であるという認識がある。仮に平成30年11月1日付即時解雇した認識ならば,平成31年4月13日付書類送付のご案内に「ご退職にともない」(甲12)と記載するのは不自然である。書証の日付についても本件第2解雇の通知である平成31年3月13日付予告手当支払いについてのご案内(甲14)の1ヶ月後の同年4月13日付(甲12)としているのは,これらの書証(甲14及び甲12)が本件第2解雇を構成していると解すべきだからである。
- したがって,本件第1解雇は,被告は,平成30年11月1日付原告を即時解雇した認識はなかった。
- そもそも原告は,本件第1解雇及び本件第2解雇において,「解雇」とは言っていない。原告は「やんわりと拒絶」(甲54・4頁)したと述べている。しかし,被告の当該不当な拒絶によって原告は被告会社に対して平成30年11月2日ないし11日まで10労働日の年次有給休暇の請求をした。したがって,10労働日後の同月12日の年次有給休暇明けには,教室長染矢氏に対して「お疲れさまです」等(甲22の2,甲52の20)と電話及びLINEで連絡して話しているが,自宅待機が続くならば同日から休業手当の支払いを求めた。結局は,教室長染矢氏は原告に対して,詳細は「上(うえ)と相談して追って連絡する。」として,原告は自宅待機を余儀なくされた。しかし,支払いはなく,即時解雇だったのかもしれないと思い込んだ。誤記は多いが,原告の名古屋西労働基準監督署を介しての被告とのやりとり(甲62)において,一方で原告が解雇には同意していないこと,未払賃金は金6,300円ではないこと,他方で名古屋西労働基準監督署も被告の納得できない又は原告に対して説明することができない根拠のない説明と原告の主張との板挟みになり対応に苦慮し,「申告処理を継続することが困難」と原告に対して書面(甲13の1,甲13の2)を送付し,「裁判所の利用をすすめます。」としたことがわかる。
b 本件第2解雇
(ア)被告は労務提供を断念していない原告に対して,本件有期契 約の不当な特約(甲1の2・雇用契約の終結に関する事項・第3項)に基づき,本件第2解雇の通知である平成31年3月13日付「予告手当支払いについてのご案内」(甲14)において労務の提供を断念していない原告の就労を不当に拒絶した(以下「本件第2解雇」という。)。
(イ)しかし,当該特約は無効である。原告に対して本件有期契約その他適用される就業規則(甲3の2)又は法第92条及び法第93条並びに労働契約法第12条により,当該不当な特約は無効であると解すべきだからである。
(ウ)したがって,本件第2解雇は無効である。
(エ)しかしながら,原告は本件第2解雇の通知(甲14)記載の「98,610円を3月31日にご入金させて頂きます。」とは異なる平成31年3月29日付の入金10万4,910円(甲6の2)を被告から原告に対する休業手当の支払いであると思い込んで,平成31年(労)第24号申立てを取り下げてしまった。
c 本件第3解雇
- 労働審判委員会の指摘
「原告には適用しない(甲56(乙1)・本件解雇時点における正社員向け就業規則・第3条)周知もない正規社員の就業規則と称する就業規則(甲55・本件解雇時点における正社員向け就業規則)の適用ではなく,既に交付されている懲戒規定(甲5・第2条)の認識はないのか。」すなわち即時解雇(甲5・第3条(8))には取締役1名以上が関わる(甲5・第10条)と定めがあるから,労働審判委員会は,被告会社の教室長ではあるが有期契約労働者である染矢氏には即時解雇の権限はなく原告の所属長は後記・エ(ウ)の京田伸幸氏であると指摘した。労働審判委員会の指摘に対して,教室長染矢氏は「原告に期間の定めのある認識はあったが,フルタイム労働者の就業規則(甲56(乙1)・本件解雇時点における正社員向け就業規則・第3条)が適用される認識はなかった」と述べた。
- 「労働者は,雇用契約を締結したことによって当然に企業秩序遵守義務を負うが,その義務違反に対する懲戒権は,就業規則に懲戒の種別及び事由を明示的に定めて初めて行使できるところ,この当該就業規則が法的規範として拘束力を有するには,その内容を事業場の労働者に周知する手続きがとられていることが必要である(最高裁判所平成15年10月10日第二小法廷判決集民211号1頁以下参照)。
- したがって,被告の主張する解雇理由(甲54・13頁)である,就業規則第20条第5号「その他,正規社員の就業規則に準ずる」すなわち,正規社員の就業規則と称する就業規則(甲56(乙1))の第19条第4号「勤務状況または勤務態度が不良もしくは協調性に欠ける等社員として不適当と認められたとき」は原告には適用しない(甲56(乙1)・第3条参照)周知もない(甲56(乙1)・18頁・平成30年6月1日改訂されているが周知もない)就業規則の適用であり,さらに当該就業規則は,令和元年11月15日付答弁書とともに交付され,たものであり,上記判例のとおり,予め「就業規則に懲戒の種別及び事由を明示的に定めて初めて行使できるところ,この当該就業規則が法的規範として拘束力を有するには,その内容を事業場の労働者に周知する手続きがとられていることが必要であ」り,令和元年11月15日時点で平成30年11月1日に遡及してこれを適用することはできないから,本件第3解雇は無効である。
- このように,当該就業規則(甲56(乙1))を原告に適用するならば,つぎに述べるとおり,被告はその他の抵触を認容又は追認しなければならなくなり,本件解雇における被告の行為の違法・不当性がより明確になる。
- すなわち,一方で,本件解雇時点における正社員向け就業規則・第59条を適用するか否かでもなくて,いずれにせよ周知されている懲戒規定(甲5,甲56(乙1)・第59条)にしたがった手続きがなされるべきだと解すべきである。
- 他方で,その他の抵触の認容又は追認とは,被告の主張するその他の解雇理由である,スタッフ社員・パートタイマー就業規則(甲3の2)第20条第2号「出勤常ならず改善の見込みのないとき」はシフトにしたがい,かつシフト以上に割増手当が支給されるほど勤務しているから原告には該当しない。しかし甲56(乙1)を適用するならば,当該就業規則にはその場合の手続き(甲56(乙1)・第13条・第2項)が定められている。手続きとは(キ)と同様であるから(キ)で述べる。
- 同じくスタッフ社員・パートタイマー就業規則(甲3の2)第20条第1号「精神又は身体に障害を生じもしくは虚弱,疾病のために業務に耐えられないと認められたとき」の場合の手続きとは,医師による「医療機関での診断を命ずることができる。ただし,会社が医療機関を指定した場合は,指定した医療機関での診断を受けるものとする」(甲56(乙1)・第13条・第2項)との定めがある。
- その他本件有期契約を更新しない理由として被告の主張する原告の無断欠勤(甲1の2・雇用契約の終結に関する事項・第5項)であるが,原告は無断欠勤(甲54・13頁)をしていない(甲74の7ないし15)。無断欠勤については,一方で,4労働日以上欠勤した場合は,医師の診断書などこれを証する書類等の提出でやむを得ない理由として認める(甲56(乙1)・第31条・第2項)との定めがある。他方で,本件有期契約(甲1の2)には,「無断欠勤があった場合,懲戒規定(甲5)に基づき…」と定められている。このように,原告には,就業規則及び周知された懲戒規定にしたがった適切な手続きがなされていない。
d したがって,本件第1解雇ないし本件第3解雇は,仮に原告に 当該解雇理由が存在する場合であっても,本件解雇は就業規則及び周知された懲戒規定にしたがって適切に手続きがなされたものとはいえず,本件解雇が客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められず,権利濫用として無効である。
e よって,主位的に,原告は,被告に対して,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認(上記第1第1項)を求め,原告は被告に対し,平成30年12月から本判決確定の日まで,毎月25日限り,金34万8,897円及びこれに対する各支払期日の翌日から支払い済みに至るまで年6分の割合による金員の支払い(上記第1第2項)を求めます。
(つづく)