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エ 休業手当の支払請求
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- したがって,被告は,休業手当の支払いを免れるために,一方で,原告を平成30年10月31日付自己都合による退職と称し,他方で,同年11月1日に遡及して原告を解雇しようとしている(甲54・11頁ないし14頁)。しかし,前記のとおり平成30年10月31日付自己都合による退職は事実ではなく(甲54・3頁),本件有期契約は連続して3回更新(甲62・3頁)しており,最後の更新は同年11月1日から平成31年4月末日までの6ヶ月間を期間とする本件有期契約(甲1の1)である。この事実は当事者間に争いがない(甲54・3頁,甲62・3頁)。
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- 「期間の定めのある労働契約は,民法628条により,原則として解除はできず,やむことを得ざる事由がある時に限り,期間内解除ができるにとどまる。したがって,就業規則の解雇事由の解釈にあたっても,当該解雇が,6ヶ月の雇用期間の中途でなされなければならないほどの,やむを得ない事由の発生が必要であるというべきである。労働契約の更新後に,6ヶ月間の契約期間の終了を待つことなく解雇しなければならないほどの予想外かつやむを得ない事態が発生したと認めるに足りる疎明資料はない。したがって本件解雇は無効であると言うべきである。(福岡高等裁判所平成14年安川電機八幡工場事件決定)」したがって,本件解雇は,有期労働契約の契約期間中の解雇について規定する労働契約法第17条1項にいう「やむを得ない事由がある」ともいえないから無効である。
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- 他方で,被告会社の教室長染矢氏及び原告の所属長である京田伸幸氏は,原告に対して「大原さんは正社員みたいなものだから」と原告の所属長であり教室長の管理者でもある京田氏が勤務時間終了後から午前3時頃まで主催し,約15名の教室長らが参加する慰労懇親会に原告は何度か誘われ参加して,京田氏及び染矢氏からは,度々「正社員にならないか」,「将来は教室長になってほしい」等と言われていた。
- したがって,原告には雇用契約の契約更新等雇用継続への合理的期待が認められる場合に相当する事実がある。この事実は当事者間に争いがない(甲54・3頁)。
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- 「よって,雇用継続への合理的期待が認められる場合には,解雇権の濫用の法理が類推され,契約期間の満了のみによって有期労働契約が当然に終了するものではない(最高裁判所平成30年(受)第755号事件令和元年11月7日第一小法廷判決)」(甲79)
- そうすると,本件解雇のような「無効な解雇によって,労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労ができなかった日は,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり,このような日は使用者の責めに帰すべき事由による不就労日であっても当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものとはいえない(最高裁判所平成23年(受)第2183号同25年6月6日第一小法廷判決)。」(甲70・甲69)と判事している。上記判例を本件解雇に準用し,本件解雇も無効な解雇によって,使用者から正当な理由なく就労を拒まれ,このような日は使用者の責めに帰すべき事由による休業であって,「全労働日から除かれるべきものとはいえない」と解すべきである。
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- さらに,「労働基準法第26条が『使用者の責めに帰すべき事由』による休業の場合に,使用者に対して平均賃金の6割以上の手当を支払う旨を規定し,その履行を強制する手段として付加金や罰金の制度がある(労働基準法114条,120条1号)のは,労働者の労務給付が使用者の責めに帰すべき事由によって不能となった場合に使用者の負担において労働者の最低生活を前記の限度で保障しようとするとする趣旨であり,決済手続を簡便なものとするため,償還利益の額を予め賃金額から控除し得ることを前提に,その控除の限度を特約のない限り平均賃金の4割までとすることはできるが,それ以上は許されないと解するのが相当である(最高裁判所昭和37年7月20日第二小法廷判決・民集16巻8号1656頁以下参照)」と判事している。
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- したがって,上記判例によれば,使用者は,平均賃金の6割相当額は負担すべきであって,最低限これを免れることは許されないと解すべきところ,原告は,平均賃金額の4割を控除した残額(6割相当額)を請求できると解すべきである。
- よって,本件申立て時点で既に確定している事実関係に基づき予備的に原告は被告に対し,金235万8,542円及び内金13万2,581円に対する平成30年12月26日から,内金20万9,338円に対する平成31年1月26日から,内金20万9,338円に対する同年2月26日から,内金20万9,338円に対する同年3月26日から,内金20万9,338円に対する同年4月26日から,内金20万9,338円に対する令和元年5月26日から支払済みに至るまで年6分,内金117万9,271円に対する本判決確定の日の翌日から支払済みに至るまで年5分の各割合による金員及び付加金の支払いを命ずるご判断(上記第1第3項)を求めます。
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- なお,本件有期契約(甲1)及び就業規則(甲3)において,民法第536条第2項適用排除の特約規定はみあたらず,さらには被告に未払休業手当の認識があることを申し添えておく。
- ここでいう,被告の未払休業手当の認識とは,被告は平成30年11月分の賃金が金6,300円であるとは一度も述べておらず,常に同年11月1日勤務分という(甲54・3頁ないし5頁,甲55・2頁)。その理由は,被告は原告に対して,同年11月2日以降休業手当を支払わなければならないという認識がある又は同月1日付で原告を即時解雇した認識がないからだと解すべきである。もしくはその他同日は,勤怠が不明で「未計算」であるにもかかわらず,何かを隠蔽するために証拠のねつ造までしている後ろめたさ又はその他のことによるものかも知れない。しかし,被告が主張するとおりならば,被告は堂々と同年11月分の賃金は金6,300円でしたと支払明細を遅滞なく交付すれば良かったのではないか。わざわざ証拠のねつ造をしてまでして又は不詳な説明でごまかさなければならないようなよっぽどのこと,たとえば重大な瑕疵か何かを隠蔽しようとしているのか。後記第3主たる争点で賃金台帳の改竄について述べる。
(つづく)
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