未払賃金について(訴状の続き⑦)

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オ 賃金

a 基準賃金

ア 原告の基準賃金は,原告の銀行口座の通帳(甲6の2)及びトライ教師アプリのマイページお支払い金額(甲19)並びに被告会社から交付された支払明細*⁶(甲63ないし甲67)及び東京労働局総務部からの開示資料のうち賃金台帳(甲74の7ないし甲74の15)に基づき別表a,別表bにおいて(税込)基準賃金を算定した。

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 別表a(別途手当)

(ア) 原告の賃金は,甲6の2及び甲19によって,①手取額がわかる。

(イ) 被告会社から交付された支払明細(甲63ないし甲65)によって㉒税率10.21%であることがわかる。

(ウ) したがって⑪税込別途手当が算定できる。

ウ 別表b(本給)

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(ア) 原告の賃金は,甲6の2及び甲63ないし甲65によって③本給手取額と②既払通勤手当が算定できる。

(イ) したがって㉗未払通勤手当が算定される。通勤手当*²は,出勤日数×960円。ただし,9月分に別の教室へ移動して指導した実費1,620円(甲63の2)が加算されている。

(ウ) 甲74の7ないし甲74の15によって④賃金台帳(税込本給)が算定される。

(エ) したがって,㉖未払給与(差額)(別表1の3に転記した)が算定される。

(オ) ④賃金台帳(税込本給)又は⑥既払税込本給は,③本給手取額と㉒税率10.21%の源泉所得税を称する金銭(甲54・6頁又は7頁)を加算した金額と同じかそれ以上であり,⑥既払税込本給又は④賃金台帳(税込本給)の金額より小さい。

(カ) すなわち,④賃金台帳(税込本給)及び⑥既払税込本給である支払金額が㉒税率10.21%の場合の③本給手取額と同じである。

(キ) したがって,④賃金台帳(税込本給)及び⑥既払税込本給は,不当な10.21%の「税額」が控除される前の金額として正しい。このように,本給及び別途手当のいずれもが税率が10.21%であること*⁶がわかる。

(ク) このように,算定した⑬(仮)基準賃金を別表1の3に転記した。

エ 賃金全額払の原則違反の不法行為

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  • 賃金から10.21%の控除は,本件有期契約に定められた法定によるものでもないから,賃金支払の5原則等の全額払の原則に違反するだけでなく,所得税法第6条及び同法第28条1項並びに同法第183条1項に違反する不法行為ではないだろうか。
  • 「労働基準法二四条が定める賃金全額払の原則は,使用者が恣意的に一方的な賃金控除を行うことを禁止し,労働者に賃金の全額を確実に受領させ,労働者の経済生活をおびやかすことがないようにその保護を図ることをもって趣旨とするものである(名古屋高等裁判所平成元年(ネ)386号同2年8月31日判決)。」と判示している。
  • したがって,労働者の日々の生活維持に不可欠な賃金そのものを「全額を支払う」の趣旨は,「賃金はその全額を支払わなければならないとし,賃金の一部を控除して支払うことを禁止するものである。」とされている。ここでいう「控除」とは,「事実行為によると法律行為によるとを問わない。」とされ,「民法509条の法意に照らせば,労働者に使用者に対する明白かつ重大な不法行為であ」るとされている。
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b 割増手当

 別表2の1

(ア) 別表2の1は,割増手当の算定にあたって,割増手当支給対象時間数を算出した別表である。まず時間外割増及び休日割増の算定にあたって,起算日を定めなければ算定はできない並びに法第35条第2項は起算日を定めていないと適用されないと解されるところ,原告に適用される本件有期契約及び就業規則その他の規則等には,法第35条第2項に関する起算日が定められていない。したがって,起算日は本件有期契約締結日である平成30年3月2日を起算日としてみなす。

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(イ) 時間外労働は,本件有期契約の定めにしたがい,一週あたり1週間の所定労働時間37時間30分(甲74の4,甲74の16)を超え又は1日8時間を超えて労働した時間を時間外労働とし,割増手当支給対象時間数として算出した。

(ウ) したがって,一週ごとに37.50時間(甲74の4,甲74の16)を超えて労働した時間外労働を①一週あたり時間外として当該週労働時間計の下に下線をつけて計上し及び法第32条第2項規定1日8時間を超えて労働した時間外労働を②一日あたり時間外として灰色の枠に計上し,並びに深夜勤務労働時間は③深夜勤務として濃い灰色の枠で白抜文字にして下線をつけて計上し及び休日勤務労働時間は④休日勤務として黒枠の白抜文字にして計上し,それぞれ集計した。

(エ) 休日割増は,一週ごとに1日も休みがない場合には,当該週の最終日を法定休日とみなし,たとえば10月第4週の最終日すなわち平成30年11月1日勤務分は法定休日とみなして休日勤務として計上した。

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イ 別表2の2

  • 割増手当の単価は,別表2の1において算出された割増手当支給対象時間数に対して,割増手当の算定基礎である各月の基礎賃金に対して深夜割増及び時間外割増は2割5分,休日割増は3割5分の金額をそれぞれの単価とした。
  • 基礎賃金は基準賃金のみで構成されるが,平成30年3月分ないし同年11月1日迄分の基礎賃金は,各月の基準賃金をひと月あたりの平均所定労働時間162.94時間(37.50×365/7/12(37.50×365÷7÷12)・甲74の4,甲74の16)で除した金額である。
  • 深夜割増は,前記・6頁dにおいて述べたとおり,当該金150円は法37条等に定められた方法により算定された額を下回るため割増手当として相当ではないから後記・dにおいて相殺し,基準賃金及び基礎賃金の計算から除外した。
  • このように算定された割増手当は合計6万7,059円である。
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 割増手当に関連する重要な事実

  • 被告は原告に対して,前記金150円その他割増手当に相当する金銭の支給はない(別表b(B)⑦⑧)。
  • 他方で被告から交付された支払明細(甲58)にも支給された割増手当の記載はない。
  • その後,さらに原告に対して書証(甲63ないし甲67,甲74の1ないし15)が交付されたが,割増手当の記載はなく,被告は原告に対して,割増手当の内深夜割増として相当ではない金150円のみを支給し,その他割増賃金は一切支給していなかったことは事実*³であった。
  • この事実は,法第37条違反であり,並びに法第33条及び法第36条にも違反しているのではないだろうか。したがって付加金を命ずるご判断を求めます。
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c 平均賃金

 平均賃金の算定基礎

  • 基準賃金(別表1の3⑮)

(イ) 社会保険料(別表1の3⑭)つまり,社会保険料は,賃金の後払いによって支払われたが,当該金額については不当に低い金額(甲44の1ないし6)ではあるが,そのまま平均賃金へ算入した(*⁶(サ)社会保険料逃れ仮説参照)。

(ウ) 割増手当(別表2の2,別表1の3⑲)

(エ) 通勤手当*²(別表1の3⑯)

イ 上記のとおり,算定基礎は,基準賃金その他手当を算入し平均賃金1万1,629円92銭,平均月額賃金34万8,897円60銭と算定した(別表1の3)。

d 原告被告の債権債務の相殺

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ア 別表1の3

  • 別表a及び別表b並びに別表2の1及び別表2の2で算定された金額を用いて,別表1の3を作成すると,被告の原告に対して有する仮の債権額は計23万5,458円(別表1の1の(ト),別表1の3の⑫列2行目)となる。
  • つづいて,原告被告当事者双方の相殺適状にある債権債務を相殺する意思表示をして相殺しようとすると被告の原告に対する債権のうち賃金の後払い分に相当する金銭とそうでないものを区別して,一方で,賃金の後払いに相当する⑭社会保険料は⑬基準賃金に加算し,他方で後払いに相当しない金銭を相殺する。
  • したがって,別表a及び別表bで算定した⑬基準賃金に⑭社会保険料を加算したのが⑮基準賃金であり,賃金の後払いに相当しない金銭とは,深夜割増として相当ではない金150円,その他不詳な金銭6,300円及び平成30年11月1日勤務分として相当ではない金6,108円を相殺する。したがって,割増手当及び同年11月1日勤務分等の相当額を第1第4項においてそれぞれ請求している(別表1の1参照)。
  • そうすると,原告の被告に対して有する債権の方が大きい(別表1の3)から,原告被告当事者双方の相殺適状にある債権債務(別表1の3)を相殺する意思表示をすると,前記被告の予告手当と称する金銭を含めた被告の原告に対して有する債権(別表1の3)は,すべて相殺消滅し,原告の被告に対して有する債権(別表1の1)だけが残る。
  • したがって,原告被告当事者双方の債権債務(別表1の3)のうち相殺適状にあった債権債務の消滅後,すなわち現在の原告の被告に対して有する債権一覧が別表1の1である。したがって,請求の趣旨第4項であるのだが,第3主たる争点で述べる賃金台帳の改竄による請求を,これに追加して請求します。
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イ 別表1の1

(ア) 前記のとおり,現在原告の被告に対して有する債権は,つぎのとおりである。

ア 未払通勤手当㉗2万7,780円

イ 未払賃金㉖1万2,902円,ここでいう未払賃金とは,平成30年11月1日勤務分につき,勤怠が不明で未計算であるから,一日あたりの平均所定労働時間6.25時間勤務したとみなす

ウ  過誤納金㉔8万4,467円96銭,過誤納金とは,㉓支払うべき源泉(給与所得の源泉徴収税額(甲72))と既払源泉所得

税⑩㉒(甲54・6頁又は6頁)との差額

エ  割増手当⑲6万4,593円

オ 年次有給休暇請求分㉚金11万6,290円,すなわち⑱平均賃金×10労働日分

(ウ) 被告は催告をおこなっても支払わない(甲78)から別表1の1のとおりそれぞれ支払請求をします。なお,別表1の1記載の下線付きの金額に対しては,付加金の支払いを命ずるご判断を求めます。

(エ) したがって,原告は被告に対し,金48万6,914円及び内金1万7,316円に対する平成30年7月26日から,内金1万3,031円に対する同年8月26日から,内金7万1,954円に対する同年9月26日から,内金3万5,606円に対する同年10月26日から,内金3万7,972円に対する同年11月26日から,内金13万0,152円に対する同年12月26日から支払済みに至るまで年6分,内金18万0,883円に対する本判決確定の日の翌日から支払済みに至るまで年5分の各割合による金員の支払い及び付加金の支払いを命ずるご判断を求めます。

 しかしながら,第3主たる争点で述べる賃金台帳の改竄による追加請求はつぎのとおりである。原告は被告に対し,金23万3,050円及び内金2万3,258円に対する平成30年6月26日から,内金9万3,032円に対する同年8月26日から,内金2万3,258円に対する同年10月26日から,内金5万8,380円に対する同年11月26日から支払済みに至るまで年6分,内金3万5,122円に対する本判決確定の日の翌日から支払済みに至るまで年5分の各割合による金員及び付加金の支払いを命ずるご判断を求めます。なお,この請求は前記のとおり,第1第4項に加えて請求します。

 よって,(エ)及びウの請求をあわせて,主位的に,原告は被告に対し,金71万9,964円及び内金2万3,258円に対する平成30年6月26日から,内金1万7,316円に対する同年7月26日から,内金10万6,063円に対する同年8月26日から,内金7万1,954円に対する同年9月26日から,内金5万8,864円に対する同年10月26日から,内金9万6,352円に対する同年11月26日から,内金13万0,152円に対する同年12月26日から支払済みに至るまで年6分,内金21万6,005円に対する本判決確定の日の翌日から支払済みに至るまで年5分の各割合による金員の支払い及び付加金の支払いを命ずるご判断(上記第1第4項)を求めます。

(つづく)

相手方の答弁書

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未払賃金について(訴状の続き⑦)」への1件のフィードバック

  1. ここで過誤納金とは,既払源泉所得と支払うべき源泉徴収額との差額としています

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