第4 原告の主張
1 本件解雇無効
本件解雇は無効であり,本件有期契約の契約期間が満了した後,契約の更新があり得ないような特段の事情はないから,その後においても本件労働契約は継続しており,本件有期契約上の権利を有する地位にあることの確認及び平成30年12月以降の賃金の支払い並びに原告は職場復帰を求めます。
2 休業手当及びその他未払金
ア 本件有期契約により,本件申立て時点で既に確定している事実関係に基づき,被告は原告に対して,未払休業手当,未払割増手当,未払通勤手当,給与所得の源泉徴収税額と既払源泉所得税との差額である過誤納金の支払い,年次有給休暇請求分,平成30年11月1日勤務分の未払賃金の支払い並びに賃金台帳改竄による差額分を原告の主張する相当額で支払うべきである。
イ 過誤納金の存在は全額払の原則違反の不法行為であるか否かのご判断を求めます。
3 割増手当について
ア 「割増賃金の算定方法は,労働基準法(以下,「法」という。)37条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下,これらの規定を「法37条等」という。)に具体的に定められているところ,法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付ける(最高裁判所平成28年(受)第222号同29年7月7日第二小法廷判決・裁判集民事256号31頁参照,最高裁判所平成29年(受)第842号同30年7月19日第一小法廷判決参照)」ものである。
イ したがって,「法37条は,使用者がこれに違反して割増賃金を支払わなかった場合には,6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられるものである(法119条1号)このように,使用者が割増手当を支払ったか否かは,罰則が適用されるか否かを判断する根拠となるものであるため,時間外労働の時間数及びそれに対して支払われた割増手当の額が明確に示されていることを法は要請しているといわなければならない(最高裁判所平成3年(オ)第63号同6年6月13日第二小法廷判決・裁判集民事172号673頁参照)。
ウ その旨が雇用契約上も明確にされていなければならないと同時に支給時に支給対象の時間外労働の時間数と割増手当の額が労働者に明示されていなければならないであろう。
エ 法の定める労働時間の一日の最長限度を超えて労働しても例外的に時間外手当の支給対象とならないような変則的な労働時間制が法律上認められているのは,現在のところ,変形労働時間制,フレックスタイム制,裁量労働制があるが,いずれも要件,手続等が法令により相当厳格に定められており,本件の契約形態がこれらに該当するといった事情はうかがわれない(最高裁判所平成21年(受)第1186号同24年3月8日第一小法廷判決・裁判官櫻井龍子の補足意見参照)。
したがって,本件も上記判例に該当する事案であると解する。
以上